広辞苑で商社を調べると「貿易商社を指す」とあります。売り手と買い手の仲介者の役割を担うトレーディング(貿易)事業は商社の基本的なビジネスですが、総合商社の場合はさらに包括的なビジネスを展開しており、大きく以下の3つに分けることができます。

①トレーディング (貿易)

上述の通り、商社の伝統的なビジネスであり、売り買いの中間に入って仲介手数料を得るビジネススタイルです。売り手・買い手両面の情報網、グローバルな物流・販売経路、ノウハウがあるからこそ実現できる事業です。

②事業投資

商社が長年のトレーディング事業で培った経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を国内外の事業会社に投資し、企業価値を高めてリターンを得るビジネスです。投資会社は資金と経営に関するアドバイスを提供するのに対し、商社の事業投資は人員の派遣や情報提供など様々リソースを駆使する点が特徴と言えます。

③事業経営

上記の事業投資がさらに発展したビジネスモデルです。事業投資先の経営権を得て、商社が主体的な経営権を握ります。新規事業創出など、企業を成長させるために包括的に事業に関わり、大きな収益を得ようとするビジネスです。

商社は大きく、「総合商社」と「専門商社」の2種類に分類されます。

「総合商社」

"ラーメンからロケットまで"と表現されるように様々な商材を取り扱い、事業領域も幅広く展開しています。生業は貿易ビジネスでしたが、グローバル化に伴って企業が自社で調達から販売までおこなえるようになったため、事業投資、さらには事業経営まで発展してきました。代表的な企業としては、三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅の5大商社が挙げられます。

「専門商社」

食料品、繊維、機械、鉄鋼、エネルギーなど、特定の分野に経営資源を集中させて事業をおこなう商社を指します。独立系の企業のほか、総合商社やメーカーの子会社や系列会社として、親会社との取引を主に行っている企業も存在します。複数分野を取り扱う専門商社もありますが、総合商社ほどの幅広さには及びません。

～総合商社と専門商社の違い～

取り扱う商材の幅広さにも大きな違いがありますが、最も明確な違いは、専門商社が貿易事業を主軸にする一方、総合商社は貿易だけではなく、事業投資、自ら事業運営に乗り出している点です。総合商社は豊富な経営資源を基盤に、プロジェクトに対して様々なアプローチ手法を持っていることが最も大きな特徴であり、強みといえるでしょう。

総合商社で働くうえで求められる能力は、仕事内容をイメージすると理解できます。面接でも下記の能力やスキルを持ち合わせているかが、合否のポイントになるのでチェックしておきしましょう！

「コミュニケーション力」

商社では様々な手法を用いて事業を展開しなければならず、プロジェクトの関係者も多岐に渡ります。ビジネスオーナーとして、社内外や国内外の様々なステークホルダーと関わりながらビジネスをおこなう必要があるため、どんな相手であれうまく協力して進められるかが重要となります。

「タフネス」

グローバル、ダイナミックな事業は総合商社の魅力である一方、事業を成功に導くためには多くのハードルを越えなければなりません。海外取引先とのタイムリーなやり取り、前例のないプロジェクトの推進など、苦労の大きさや種類は様々ですが、精神的・体力的なタフネスは総合商社で働くうえで大事な能力のひとつと言えます。

「社会経済・ビジネスへの興味」

先述の通り、総合商社は自社の豊富なリソースを基に、事業投資・経営をおこないながらビジネスを創出しています。新たに事業を展開するためには、国内外の社会経済、様々な業界・企業の動向について日頃からアンテナを巡らせたうえで、自社のビジネスに活かさなければなりません。

総合商社では、新しい事業を生み出したり、事業を成長させたりすることが求められているため、その役割を担う"人"が何よりも重要です。そのため人物面接では、過去の経験や将来やりたい事について質問され、「総合商社で活躍でき得る人物なのか」「本当にここで働きたいと思っているのか」を深掘りされます。また一部総合商社では、ケース面接も取り入れられるようになりました。

～人物面接～

他の業界・企業でも一般的に行われる面接形式です。留学に至った理由や学生時代に力を入れたことなど、過去や現在の経験だけでなく、将来成し遂げたい事や入社したらやりたい事など、未来のことについても質問をされます。また志望動機も「なぜ総合商社なのか？」「総合商社の中でも〇〇社なのか？」もよく聞かれるので、十分な業界・企業分析が必要になります。企業のホームページなどでも情報は得られますが、Connect Job等で行われるセミナーや座談会で企業で働く人から直接情報収集することをオススメします。

人物面接の概要はこちらの記事をチェック

～ケース面接～

近年、一部の総合商社で用いられています。ある総合商社では1次選考で行われるため、早めに面接形式について知っておくとよいでしょう。ケース面接はコンサル業界でよく行われますが、総合商社の場合は新規事業の立案など、総合商社のビジネスに関連した問いが出されることが多いのが特徴です。

ケース面接の概要はこちらの記事をチェック（ケース問題の例題はこちら）

総合商社のビジネスについてイメージできましたか？海外大生が活躍できる機会が多い業界なのは間違いありませんが、面接では人物面を深く見られるので事前準備をして臨みましょう！Connect Jobは総合商社の採用に長年関わってきたので、商社志望の方はコンサルタントから直接話を聞いて対策を進める事もオススメします。