2.ギャップイヤー取得 日本と海外の大学の違い
日本ではあまり聞き慣れないかもしれないギャップイヤーですが、海外での実態はどうなっているのでしょうか。
海外の現状
ギャップイヤーは、主にイギリス、ヨーロッパ、オーストラリアの国で活用する学生が多く、対照的にアメリカではその数は少ないそうです。しかし、近年ではアメリカでも人気が出てきており、ギャップイヤーをサポートするプログラムも増えています。
■イギリス
ギャップイヤーはもともと、1960年代イギリスで、旅行やボランティアなどを通して人生経験を積むために生まれました。ギャップイヤー発祥地ということもあり、現在でもその文化は残っていますが、近年では大学や仕事を丸1年間離れずに済むよう、数カ月のブレイクを取るのが主流なようです。
■ヨーロッパ
イギリスと同様、ヨーロッパでは年齢や経験を重ねてから次のライフステージに進むことや、休暇を取って多様な人や経験に触れることを良しとする文化があり、ギャップイヤーを取ることは一般的です。
また、EU圏内の旅行のしやすさや大学間交換プログラムの提携(エラスムスプログラム)、公立大学の学費の安さなども、ギャップイヤーの取りやすさに関係しているようです。
■オーストラリア
オーストラリアでは、ギャップイヤー中に旅行をすることで学生が様々な経験をできる機会を提供するプログラムが多くあります。例えば、The Gap Year Associationでは2016年に400万ドルの奨学金と支援金を提供しています。
日本と海外の違い
それでは、なぜ日本でギャップイヤーが一般的にならないのか、大学や就職活動のシステムの違いを見てみましょう。
■大学
日本
受験戦争が激しく、入学時期が遅れることは「浪人」とマイナスのイメージを持たれることもあります。また社会人になってから大学に通い直す人も少なく、日本の大学生のほとんどが20代前後です。
イギリス・ヨーロッパ・オーストラリア
日本のような受験戦争がなく、入学試験よりも大学に入ってからの勉強が重視されます。社会人を経て大学に戻ってくる人が多く、小中高でも学校についていけないときは留年し直せるなど、学生の年齢層の幅が広いです。
■就活
日本
新卒一括採用制度の下で就活がうまく行かなかった場合、特に大手企業は採用時期が限られているため大学受験のように次の年まで待たなければなりません。また一度卒業したら「既卒」、フルタイムの職業経験がある人は「キャリア採用」になるなど、年齢や経験を重ねることがむしろ就職活動で不利になることがあります。
イギリス・ヨーロッパ・オーストラリア
採用制度は、ポジションに空席が出たらその都度募集するという形を取っており、1年を通して就職活動をすることができます。また学生でも経験やスキルがある方が市場価値は上がり、採用の際も有利になります。
上記のように、日本では高校→大学→社会人とライフステージが上がる際、ブランクがない方が成功と捉えられる傾向があります。
一方でイギリス、ヨーロッパ、オーストラリア等の地域では、年齢よりも経験の多さが評価され、それによって人間としての豊かさも増すと考える文化があるようです。