今回は、フェルミ推定と同様に難関企業の多くが選考過程で実施する「ケース問題」について解説します。この記事を読めば、フェルミ推定との違いや、問題の解き進め方、問題を解く際のコツなどを理解できます。例題も用意しているので、是非解いてみてください!
今回は、フェルミ推定と同様に難関企業の多くが選考過程で実施する「ケース問題」について解説します。この記事を読めば、フェルミ推定との違いや、問題の解き進め方、問題を解く際のコツなどを理解できます。例題も用意しているので、是非解いてみてください!
1.ケース問題とは
ケース問題とは、すぐに答えが出せない問いに対して打ち手(解決策など)を提案する問題です。フェルミ推定*が市場規模などの「数値」を求めるのに対して、ケース問題では売上を向上させるためには何をすればいいかなどの「打ち手」を求めるという違いがあります。
ケース問題には、面接官との1対1とグループディスカッションの2通りの選考形式があります。面接官から出された問いについて考える時間が設けられ、制限時間終了後に解答を発表していくという形式は同じですが、1人で考えるか、グループで話し合いながら考えるかという点で異なります。
* フェルミ推定…フェルミ推定について詳しく知りたいという方は、別の記事「フェルミ推定に挑戦!~面接対策~」をご確認ください。
1.ケース問題とは
ケース問題とは、すぐに答えが出せない問いに対して打ち手(解決策など)を提案する問題です。フェルミ推定*が市場規模などの「数値」を求めるのに対して、ケース問題では売上を向上させるためには何をすればいいかなどの「打ち手」を求めるという違いがあります。
ケース問題には、面接官との1対1とグループディスカッションの2通りの選考形式があります。面接官から出された問いについて考える時間が設けられ、制限時間終了後に解答を発表していくという形式は同じですが、1人で考えるか、グループで話し合いながら考えるかという点で異なります。
* フェルミ推定…フェルミ推定について詳しく知りたいという方は、別の記事「フェルミ推定に挑戦!~面接対策~」をご確認ください。
* フェルミ推定…フェルミ推定について詳しく知りたいという方は、別の記事「フェルミ推定に挑戦!~面接対策~」をご確認ください。
2.ケース問題の解き進め方
一般的に、以下のような手順で進めていくことが多いです。
①前提確認
例えば「コンビニ店の売り上げを向上させるための施策を考えよ」という問題の場合、前提確認では、コンビニ一店舗なのか全店舗なのか、都心のコンビニなのか郊外のコンビニなのかなどを確認します。前提確認をしておくことで、面接官やグループディスカッションのメンバーと前提認識を共有することができます。
②構造化(現状分析)
次に、コンビニの売上を決定する要素がどうなっているのか、要素を分解して分析を行います。
コンビニの売上は「顧客単価」「顧客数」に分解されます。
「顧客数」はさらに「来店人数」「来店頻度」、
「顧客単価」はさらに「商品単価」「商品購入数」にそれぞれ分解されます。
分解の方法はこれだけではなく、他にも3C分析(自社・他社・顧客/市場)など様々な切り口があります。
③ボトルネックの特定
要素分解ができたら、次にどの要素がボトルネック(目標を達成する上での課題)となっているのか考えます。
④打ち手の列挙
先ほど特定したボトルネックを解決するための打ち手を列挙していきます。
⑤打ち手の評価
それぞれの提案を、「インパクト」「実現可能性」という二つの観点から評価します。総合的に最も評価の高かったものがこの問題での解答となります。
前提確認や構造化はフェルミ推定でも共通する部分ですが、ボトルネックの特定、打ち手の列挙、打ち手の評価はケース問題ならではの工程です。
2.ケース問題の解き進め方
一般的に、以下のような手順で進めていくことが多いです。
①前提確認
例えば「コンビニ店の売り上げを向上させるための施策を考えよ」という問題の場合、前提確認では、コンビニ一店舗なのか全店舗なのか、都心のコンビニなのか郊外のコンビニなのかなどを確認します。前提確認をしておくことで、面接官やグループディスカッションのメンバーと前提認識を共有することができます。
②構造化(現状分析)
次に、コンビニの売上を決定する要素がどうなっているのか、要素を分解して分析を行います。
コンビニの売上は「顧客単価」「顧客数」に分解されます。
「顧客数」はさらに「来店人数」「来店頻度」、
「顧客単価」はさらに「商品単価」「商品購入数」にそれぞれ分解されます。
分解の方法はこれだけではなく、他にも3C分析(自社・他社・顧客/市場)など様々な切り口があります。
③ボトルネックの特定
要素分解ができたら、次にどの要素がボトルネック(目標を達成する上での課題)となっているのか考えます。
④打ち手の列挙
先ほど特定したボトルネックを解決するための打ち手を列挙していきます。
⑤打ち手の評価
それぞれの提案を、「インパクト」「実現可能性」という二つの観点から評価します。総合的に最も評価の高かったものがこの問題での解答となります。
前提確認や構造化はフェルミ推定でも共通する部分ですが、ボトルネックの特定、打ち手の列挙、打ち手の評価はケース問題ならではの工程です。
例えば「コンビニ店の売り上げを向上させるための施策を考えよ」という問題の場合、前提確認では、コンビニ一店舗なのか全店舗なのか、都心のコンビニなのか郊外のコンビニなのかなどを確認します。前提確認をしておくことで、面接官やグループディスカッションのメンバーと前提認識を共有することができます。
次に、コンビニの売上を決定する要素がどうなっているのか、要素を分解して分析を行います。
コンビニの売上は「顧客単価」「顧客数」に分解されます。
「顧客単価」はさらに「商品単価」「商品購入数」にそれぞれ分解されます。
分解の方法はこれだけではなく、他にも3C分析(自社・他社・顧客/市場)など様々な切り口があります。
要素分解ができたら、次にどの要素がボトルネック(目標を達成する上での課題)となっているのか考えます。
先ほど特定したボトルネックを解決するための打ち手を列挙していきます。
それぞれの提案を、「インパクト」「実現可能性」という二つの観点から評価します。総合的に最も評価の高かったものがこの問題での解答となります。
3.ケース問題に挑戦
それでは実際に例題を解いてみましょう。
例題:書店の売上を向上させるための施策を考えよ。
解説:
①前提確認
「書店」「売上」はそれぞれ指している内容が曖昧なので、定義づけを行ってイメージを明確にしていきます。
「書店」
・業界全体や複数店舗ではなく、ある書店一店舗のこと
・専門書籍を多く抱える書店や古本屋ではなく、全国展開している大型書店のフランチャイズ店舗
・都心に位置する
「売上」
・オンライン販売による売上は考慮せず、店舗売上向上の施策を考える
また、コンサルティング対象のクライアントについても前提確認をしておくことをおすすめします。ここでは「書店の店長」と仮定します。
②構造化
書店の売上は、「顧客数」「顧客単価」に分解されます。
そして顧客数は「書店利用人数」「店舗選択率」「来店頻度」に、顧客単価は「書籍単価」「書籍購入数」にそれぞれ分解することができます。
売上 →「顧客数」「顧客単価」
顧客数 →「書店利用人数」「店舗選択率」「来店頻度」
顧客単価 →「書籍単価」「書籍購入数」
以上より、「書店利用人数」「店舗選択率」「来店頻度」「書籍単価」「書籍購入数」の5つの要素が書店の売上に影響を与えていると考えられます。
③ボトルネックの特定
次に、5つのうちで売上をあげるうえでの課題がどれであるかを特定します。
「書店利用人数」
;今回売上向上施策を考えている書店に限らず、書店自体を普段利用しない顧客を獲得することを念頭に置いた項目です。書籍売上全体に占める電子書籍売上の割合が年々高くなっていることを考えれば、普段書店を訪れない層にアプローチして新規に顧客を獲得することは容易ではありません。
「店舗選択率」
;普段書店を利用するが、他店舗で購入する人たちを顧客として獲得することを念頭に置いた項目です。書店は全国展開しているという前提を置いているため、知名度のさらなる向上はあまり期待できません。また他にも競合書店が存在し、それぞれの書店も同様に売上向上を目指して試行錯誤していることを考慮すると、店舗選択率を大きく向上させることは現実的ではありません。
「来店頻度」
;定期的にこの店舗を利用する層を念頭に置いた項目です。キャンペーンなどを打ち出せば来店頻度が向上する可能性があるため、ボトルネックと言えます。
「書籍単価」
;今回の問題では、書店の店長がクライアントという前提を置いているため、書籍単価の変更は裁量の及ばない範囲になってしまいます。そのため、書籍単価は今回の改善すべき課題の対象とはなりません。
「書籍購入数」
;来店頻度と同様に、割引キャンペーンや書籍のラインナップの多様化などで購入数増加が見込まれるため、ボトルネックと言えます。
以上より、「来店頻度」「書籍購入数」の二つがボトルネックであると特定されました。
④打ち手の列挙
まず、来店頻度については、
(1)カフェスペースの設置などのリノベーションによって店舗空間の居心地を良くする
(2)ポイントカードを導入し、ポイントの有効期限を短めに設定する
書籍購入数については、
(3)陳列方法の工夫によって購買意欲を刺激する
(4)同時に購入する点数に応じて割引や特典を付与する
(5)欲しい書籍が店頭に置いていないという人もいるはずなので、利用者アンケートで店舗に置いてほしいジャンルや書籍を調査し、陳列書籍を最適化する
などの施策によって向上させることが出来ると考えられます。
次にこれらの施策を「インパクト(効果)」と「実現可能性」の側面から評価します。
⑤打ち手の評価
(1)「リノベーション」
;視覚的にも大きなインパクトがあり、来店頻度が向上する可能性が高いです。しかしカフェスペース設置などの大規模なリノベーションは予算的、空間的制約から難しいでしょう。
(2)「ポイントカードの導入・制度の見直し」
;書店は全国展開しているという前提を置いたので、ポイントカードシステムはすでに導入済みであると考えられ、 インパクトは見込めません 。一方で、 制度の見直しについては、 誕生月などにポイント〇倍キャンペーンを実施したり、ランク付け(ゴールド/一般会員の区別)、有効期限等の見直し自体は比較的簡単にできる為、 実現可能であると言えます。
(3)「陳列方法の工夫」
;レイアウトや書籍配置の変更、書籍宣伝のPOPの掲示などが考えられます。レイアウトに関しては、書棚の位置を変えるなどであれば十分現実的です。しかしポイントカードと同様に、フランチャイズ店であればこうしたノウハウは取り入れられている可能性が高く、インパクトはあまり見込めないと考えられます。
(4)「購入点数に応じた割引・特典」
;インパクトはかなり大きいと考えられます。例えば、特典として世間の流行を意識したタイアップ景品を用意すれば、一顧客当たりの書籍購入数は高確率で向上するでしょう。また実現可能性という面でも、割引や特典キャンペーンは比較的容易に実行することができます。
(5)「陳列書籍の最適化を図る」
;利用者アンケート結果を反映して最適化を目指すことで、インパクトが期待できます。また、店舗独自でアンケートを実施することは容易であるため、実現可能性もあります。
以上より、書店の売上向上のためには、[購入点数に応じて割引・特典を付与し]、[ 陳列書籍の最適化を図る]べきであると考えられます。時間に余裕があれば、具体的にどのような割引・特典にするかなどを突き詰めていきましょう。
解答後は面接官から質問や反論が投げかけられます。例えば、
・消費者の年齢や性別によって本の嗜好が変わるが、そのことは考慮したか
・書店の位置するエリアによっても売上向上のための施策は変わってくるのではないか
・来店時間帯も売上を左右する重要な要素ではないか
などが想定されます。 時間に余裕があれば、こうした質問や反論も想定しながら解答を詰めていきましょう。
3.ケース問題に挑戦
それでは実際に例題を解いてみましょう。
例題:書店の売上を向上させるための施策を考えよ。
解説:
①前提確認
「書店」「売上」はそれぞれ指している内容が曖昧なので、定義づけを行ってイメージを明確にしていきます。
「書店」
・業界全体や複数店舗ではなく、ある書店一店舗のこと
・専門書籍を多く抱える書店や古本屋ではなく、全国展開している大型書店のフランチャイズ店舗
・都心に位置する
「売上」
・オンライン販売による売上は考慮せず、店舗売上向上の施策を考える
また、コンサルティング対象のクライアントについても前提確認をしておくことをおすすめします。ここでは「書店の店長」と仮定します。
②構造化
書店の売上は、「顧客数」「顧客単価」に分解されます。
そして顧客数は「書店利用人数」「店舗選択率」「来店頻度」に、顧客単価は「書籍単価」「書籍購入数」にそれぞれ分解することができます。
売上 →「顧客数」「顧客単価」
顧客数 →「書店利用人数」「店舗選択率」「来店頻度」
顧客単価 →「書籍単価」「書籍購入数」
以上より、「書店利用人数」「店舗選択率」「来店頻度」「書籍単価」「書籍購入数」の5つの要素が書店の売上に影響を与えていると考えられます。
③ボトルネックの特定
次に、5つのうちで売上をあげるうえでの課題がどれであるかを特定します。
「書店利用人数」
;今回売上向上施策を考えている書店に限らず、書店自体を普段利用しない顧客を獲得することを念頭に置いた項目です。書籍売上全体に占める電子書籍売上の割合が年々高くなっていることを考えれば、普段書店を訪れない層にアプローチして新規に顧客を獲得することは容易ではありません。
「店舗選択率」
;普段書店を利用するが、他店舗で購入する人たちを顧客として獲得することを念頭に置いた項目です。書店は全国展開しているという前提を置いているため、知名度のさらなる向上はあまり期待できません。また他にも競合書店が存在し、それぞれの書店も同様に売上向上を目指して試行錯誤していることを考慮すると、店舗選択率を大きく向上させることは現実的ではありません。
「来店頻度」
;定期的にこの店舗を利用する層を念頭に置いた項目です。キャンペーンなどを打ち出せば来店頻度が向上する可能性があるため、ボトルネックと言えます。
「書籍単価」
;今回の問題では、書店の店長がクライアントという前提を置いているため、書籍単価の変更は裁量の及ばない範囲になってしまいます。そのため、書籍単価は今回の改善すべき課題の対象とはなりません。
「書籍購入数」
;来店頻度と同様に、割引キャンペーンや書籍のラインナップの多様化などで購入数増加が見込まれるため、ボトルネックと言えます。
以上より、「来店頻度」「書籍購入数」の二つがボトルネックであると特定されました。
④打ち手の列挙
まず、来店頻度については、
(1)カフェスペースの設置などのリノベーションによって店舗空間の居心地を良くする
(2)ポイントカードを導入し、ポイントの有効期限を短めに設定する
書籍購入数については、
(3)陳列方法の工夫によって購買意欲を刺激する
(4)同時に購入する点数に応じて割引や特典を付与する
(5)欲しい書籍が店頭に置いていないという人もいるはずなので、利用者アンケートで店舗に置いてほしいジャンルや書籍を調査し、陳列書籍を最適化する
などの施策によって向上させることが出来ると考えられます。
次にこれらの施策を「インパクト(効果)」と「実現可能性」の側面から評価します。
⑤打ち手の評価
(1)「リノベーション」
;視覚的にも大きなインパクトがあり、来店頻度が向上する可能性が高いです。しかしカフェスペース設置などの大規模なリノベーションは予算的、空間的制約から難しいでしょう。
(2)「ポイントカードの導入・制度の見直し」
;書店は全国展開しているという前提を置いたので、ポイントカードシステムはすでに導入済みであると考えられ、 インパクトは見込めません 。一方で、 制度の見直しについては、 誕生月などにポイント〇倍キャンペーンを実施したり、ランク付け(ゴールド/一般会員の区別)、有効期限等の見直し自体は比較的簡単にできる為、 実現可能であると言えます。
(3)「陳列方法の工夫」
;レイアウトや書籍配置の変更、書籍宣伝のPOPの掲示などが考えられます。レイアウトに関しては、書棚の位置を変えるなどであれば十分現実的です。しかしポイントカードと同様に、フランチャイズ店であればこうしたノウハウは取り入れられている可能性が高く、インパクトはあまり見込めないと考えられます。
(4)「購入点数に応じた割引・特典」
;インパクトはかなり大きいと考えられます。例えば、特典として世間の流行を意識したタイアップ景品を用意すれば、一顧客当たりの書籍購入数は高確率で向上するでしょう。また実現可能性という面でも、割引や特典キャンペーンは比較的容易に実行することができます。
(5)「陳列書籍の最適化を図る」
;利用者アンケート結果を反映して最適化を目指すことで、インパクトが期待できます。また、店舗独自でアンケートを実施することは容易であるため、実現可能性もあります。
以上より、書店の売上向上のためには、[購入点数に応じて割引・特典を付与し]、[ 陳列書籍の最適化を図る]べきであると考えられます。時間に余裕があれば、具体的にどのような割引・特典にするかなどを突き詰めていきましょう。
解答後は面接官から質問や反論が投げかけられます。例えば、
・消費者の年齢や性別によって本の嗜好が変わるが、そのことは考慮したか
・書店の位置するエリアによっても売上向上のための施策は変わってくるのではないか
・来店時間帯も売上を左右する重要な要素ではないか
などが想定されます。 時間に余裕があれば、こうした質問や反論も想定しながら解答を詰めていきましょう。
「書店」「売上」はそれぞれ指している内容が曖昧なので、定義づけを行ってイメージを明確にしていきます。
「書店」
・業界全体や複数店舗ではなく、ある書店一店舗のこと
・専門書籍を多く抱える書店や古本屋ではなく、全国展開している大型書店のフランチャイズ店舗
・都心に位置する
「売上」
・オンライン販売による売上は考慮せず、店舗売上向上の施策を考える
また、コンサルティング対象のクライアントについても前提確認をしておくことをおすすめします。ここでは「書店の店長」と仮定します。
書店の売上は、「顧客数」「顧客単価」に分解されます。
そして顧客数は「書店利用人数」「店舗選択率」「来店頻度」に、顧客単価は「書籍単価」「書籍購入数」にそれぞれ分解することができます。
売上 →「顧客数」「顧客単価」
顧客数 →「書店利用人数」「店舗選択率」「来店頻度」
顧客単価 →「書籍単価」「書籍購入数」
以上より、「書店利用人数」「店舗選択率」「来店頻度」「書籍単価」「書籍購入数」の5つの要素が書店の売上に影響を与えていると考えられます。
次に、5つのうちで売上をあげるうえでの課題がどれであるかを特定します。
;今回売上向上施策を考えている書店に限らず、書店自体を普段利用しない顧客を獲得することを念頭に置いた項目です。書籍売上全体に占める電子書籍売上の割合が年々高くなっていることを考えれば、普段書店を訪れない層にアプローチして新規に顧客を獲得することは容易ではありません。
;普段書店を利用するが、他店舗で購入する人たちを顧客として獲得することを念頭に置いた項目です。書店は全国展開しているという前提を置いているため、知名度のさらなる向上はあまり期待できません。また他にも競合書店が存在し、それぞれの書店も同様に売上向上を目指して試行錯誤していることを考慮すると、店舗選択率を大きく向上させることは現実的ではありません。
;定期的にこの店舗を利用する層を念頭に置いた項目です。キャンペーンなどを打ち出せば来店頻度が向上する可能性があるため、ボトルネックと言えます。
;今回の問題では、書店の店長がクライアントという前提を置いているため、書籍単価の変更は裁量の及ばない範囲になってしまいます。そのため、書籍単価は今回の改善すべき課題の対象とはなりません。
;来店頻度と同様に、割引キャンペーンや書籍のラインナップの多様化などで購入数増加が見込まれるため、ボトルネックと言えます。
まず、来店頻度については、
(1)カフェスペースの設置などのリノベーションによって店舗空間の居心地を良くする
(2)ポイントカードを導入し、ポイントの有効期限を短めに設定する
書籍購入数については、
(3)陳列方法の工夫によって購買意欲を刺激する
(4)同時に購入する点数に応じて割引や特典を付与する
(5)欲しい書籍が店頭に置いていないという人もいるはずなので、利用者アンケートで店舗に置いてほしいジャンルや書籍を調査し、陳列書籍を最適化する
などの施策によって向上させることが出来ると考えられます。
次にこれらの施策を「インパクト(効果)」と「実現可能性」の側面から評価します。
;視覚的にも大きなインパクトがあり、来店頻度が向上する可能性が高いです。しかしカフェスペース設置などの大規模なリノベーションは予算的、空間的制約から難しいでしょう。
;書店は全国展開しているという前提を置いたので、ポイントカードシステムはすでに導入済みであると考えられ、 インパクトは見込めません 。一方で、 制度の見直しについては、 誕生月などにポイント〇倍キャンペーンを実施したり、ランク付け(ゴールド/一般会員の区別)、有効期限等の見直し自体は比較的簡単にできる為、 実現可能であると言えます。
;レイアウトや書籍配置の変更、書籍宣伝のPOPの掲示などが考えられます。レイアウトに関しては、書棚の位置を変えるなどであれば十分現実的です。しかしポイントカードと同様に、フランチャイズ店であればこうしたノウハウは取り入れられている可能性が高く、インパクトはあまり見込めないと考えられます。
;インパクトはかなり大きいと考えられます。例えば、特典として世間の流行を意識したタイアップ景品を用意すれば、一顧客当たりの書籍購入数は高確率で向上するでしょう。また実現可能性という面でも、割引や特典キャンペーンは比較的容易に実行することができます。
;利用者アンケート結果を反映して最適化を目指すことで、インパクトが期待できます。また、店舗独自でアンケートを実施することは容易であるため、実現可能性もあります。
・消費者の年齢や性別によって本の嗜好が変わるが、そのことは考慮したか
・書店の位置するエリアによっても売上向上のための施策は変わってくるのではないか
・来店時間帯も売上を左右する重要な要素ではないか
などが想定されます。 時間に余裕があれば、こうした質問や反論も想定しながら解答を詰めていきましょう。
4.まとめ
実際の選考では、上記のようなケース問題を20分程度で解くことが求められます。もし解答を詰めきれていなくても、最終的に何らかの解答を出し、アウトプットを行うことを意識しながら進めていきましょう。
しかし一方で、解答それ自体よりも思考プロセスが重視されることにも留意する必要があります。例えば面接で面接官から反論や指摘がなされた場合、ただそれに対して反論しようとするのではなく、客観的にその反論、指摘の妥当性を吟味し、必要に応じて解答を修正することも重要です。